新たなステージ

今月が終われば、入社から半年が経過する。
徐々に職場にも慣れてきたように思う。
しかしながら、慣れによる油断・甘えを防いでいく必要がある。
今の職場は、あまり五月蝿く注意などはしてこない。
だからこそ、自分自身で律していかなければいけないのだと感じる。
大学院時代に学んだことは「自分に負けない」ということである。
言葉では分かっていたが、大学院時代に身を持って痛感することになる。


研究室の先生は、僕を信頼して任せていてくれた。
実験やゼミ発表も強制することはなく、僕がやりたい時にやれば良い環境。
「君の事は信頼している」、「君は大丈夫」といった言葉もかけてもらっていた。
結局は、先生のその言葉・態度に甘えてしまっていたのである。
確かに、修士論文を書いて卒業したし、最低限の仕事はしたと思う。
でも、その先生の信頼・期待に応える事ができたのか、と問われれば答えは否である。
そして何よりも、自分のベストを尽くしたのか、と問われれば答えは否だ。
自分のベストを尽くしてダメならば、それは仕方が無い。
それが現時点の能力の限界で、これからその能力を伸ばす努力をすれば良い。
しかし、僕は自分に負けてしまった。環境に甘えてしまった。
もっとワクワクする論文を書けたはずなのに、平凡なものになってしまった。
サッカーの三浦知良選手の言った言葉に好きな言葉がある。
「相手はいるけど、敵は自分」
まさに、自分の中の敵に完敗を喫した大学院時代であった。


スポーツ選手で言えば、イチローの自分自身に対する厳しさを尊敬している。
そして、年下ではあるが、フィギアスケートの浅田真央選手も尊敬している。
彼女はよく「ノーミスで演技することが目標」と述べている。
僕は当初、「完璧主義者なのかな?」くらいで聞いていた。
でも、今は違う捉え方をしている。
フィギアスケートは採点競技で、審判の印象などが結果にも影響を及ぼす不確定要素の多いスポーツだと思う。
当然、審判の目や、周りの選手の演技が気になるものだ。
しかし、「ノーミスで演技する」という目標は、審判や相手選手との対決を、見事に自分との対決に置き換えている。
自分自身のベストを出す事に集中しているのである。
さらには、自分のベストを出せれば優勝もできるという自信の表れなのだろう、と考えている。


日本を代表するアスリートと比べることはできないが、僕は会社員であり周りに評価される立場である。
しかし、評価する周りの目を意識しても仕方が無い、という気がしている。
人によるのだと思うけれど、僕の場合はそれを意識しだすと逆効果のようだ。
だからこそ、これからの人生において「自分に勝てているか」を、自分に対する第一の評価基準にしたいと思う。
それが大学院で学んだ最も重要なことであり、この半年で再確認したことである。
そして、自分に勝てれば結果も残せる。そういった能力を身につける事が、これからの課題だろう。


以上、長々と入社半年の総括である。